上級コース(レベル3)

THE MACROBIOTIC WAY PROGRAM
マクロビオティック・ウェイ・プログラム
上級コース(レベル3)

コースの目標

  • 持続可能な社会に貢献する方法を見つける

  • 増え続ける公害や有毒物質などの環境汚染から自分自身を守る方法を学ぶ

  • ホルモンのアンバランスが何故起こり、どう対処したらよいかを学ぶ

  • 慢性病から回復しそして予防する方策を見つける

  • 健康を高めて免疫力を強くすることで感染症の危険性を下げる

  • 食事とシンプルな運動でストレスをマネージし、心の健康を安定させる

  • 東洋の診断法で自分自身を知り、周りの人を理解する

  • 自分を磨き世の中をよりよくするマクロビオティック的な見方を知る

  • 健康維持のための調理技術を身に付けてキッチン内での自信を付け、加工食品のつくり方を学ぶ

 上級コースは、24のセッションで構成されており、合計48時間におよぶ講義と12の参加型クッキングクラスから成っています。1日のスケジュールは基本的に11時から6時までで、このなかにはランチが含まれます。そしてこのスケジュールが12回にわたって行われます。このコースでは、170ページの教科書と70以上のレシピが配給され、終了時には卒業証書が手渡されます。

コースの概要

​講義

レッスン1

  1. 各自の健康を促進することで地球規模での持続可能性を高める

 ・現在私たちがする食物の選び方が環境や社会に与える影響

 

レッスン2

  1. 化学物質、毒性物質、汚染物質、電磁波汚染が健康に与える影響と、それらから自分を守る方法を学ぶ

 

レッスン3

  1. ホルモンが健康に及ぼす影響

 ・ホルモンのアンバランスや内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の予防

 

レッスン4

  1. 心臓血管疾患(心臓病や卒中)、糖尿病、関節炎や骨粗鬆症などの骨や関節の問題などに代表される非感染性疾患(NCD)

 

レッスン5

  1. 癌の予防

 

レッスン6

  1. ウイルスや細菌による感染症(感染性疾患、CD)

 ・食事とライフスタイルによる免疫力の強化

 

レッスン7

  1. 適切な選択ができ、良質な生活をするための自己啓発

 

レッスン8

  1. 心の健康

 ・脳の養い方

 ・瞑想や呼吸法でストレスをマネージする

 

レッスン9

  1. 私たちの食物選択が自然との調和をつくり、健康を維持する

 

レッスン10

  1. 高度な診断法:耳と耳の問題、目と目の問題など

 

レッスン11

  1. よりよい世界を創るためにマクロビオティックができること

 

レッスン12

  1. クッキング・プレゼンテーションとマクロビオティック調理法の教え方

  2. マクロビオティックを自分のライフワークに取り入れる

 

参加型クッキングクラス

 

 上級コースの調理は、マクロビオティックの調理法に習熟して、自分だけの調理法を創り出せるようになることに焦点を当てています。特定の疾患を治して、健康を取り戻すための食材の使い方と調理法をさらに深く学ぶために、クッキングクラスは参加型のクラスになっています。見た目もよい手の込んだ料理やスウィーツのつくり方も学びます。また、味噌、甘酒、納豆、テンペなどの発酵食品や小麦グルテン(セイタン)を実際につくり、それらを使った調理の仕方も学びます。

 

上級コースで学ぶこと

 私たちは、マクロビオティック・ウェイ・プログラムの中心テーマである『個人の成長と家族の幸せ』を続けて学んでいきますが、この上級コースでは、人生についてさらに深く知り、理解を深めていきます。また、自分の生活方法に変更を加えて、社会や環境、ひいてはこの地球に良い結果をもたらすために必要となってくる目的意識や熱意についても考えていきます。これらを心に留めながら生活方法を改善していくと、身の周りに変化が起こり始め、これが世界を変える鍵となり、また手段ともなっていきます。そしてやがてはこれが、こんにち人類が直面している問題の解決策のひとつとなっていくのです。

 近年発表されている科学的な研究や報告書は、私たち人間が、自分たちの生活の方法を根本的に変えないかぎり、この地球とそこに住む全生物の未来は暗いものになると警告しています。しかし完全な健康を持っていたとしても、問題の根本的な原因を特定し、それを理解し、それ相応の変更を加えないかぎり、この環境的な危機を根本的に解決することはできませんし、社会全体に対する喫緊の懸念に対処することもできません。

私たちが現在、食物を生産し、加工し、消費し、

無駄にしているこのやり方は、

地球の視点から見ると持続不可能なのです

 私たちが食物を生産し、加工し、消費し、無駄にしている現在のこのやり方は、地球の視点から見ると持続不可能であるうえに、私たちが直面しているすべての環境問題にも直結していることに、ほとんどの人は気付いていません。この地球のおよそ40%は、私たちの食糧を生産するための農地として使われています。農業は、地球上で最大の人的な活動ですので、農業の行われ方が、すべての生命に直接影響を及ぼすことは想像に難くないでしょう。私たちが現在目の当たりにしている地球温暖化、気候変動、甚大な汚染、森林破壊、動植物の大量絶滅などを引き起こしている主要原因は温室効果ガスの放出ですが、科学界からの最近の報告では、その最大の放出源は、農業と食糧関連の活動であると指摘されています。

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 私たちの食糧を生産するために使われている農地のうちのおよそ80%は、私たち人間が毎日食べている動物性食物(家畜)のための放牧地や牧草地として使われています。食糧としての家畜を増やすために、毎年さらなる森林が切り倒されているため、地球上の生態系はさらに劣化しており、野生動物や植物は絶滅し続けています。こんにち、この地球に住んでいるすべての哺乳類のうちの60%は家畜、そして人間と野生動物が残りの40%なのです。鳥類の場合では、70%が鶏や家禽であり、30%が野生です。こんにち私たちがしている動物性食物の大量摂取は、健康に悪影響を及ぼすだけでなく、環境や社会にも莫大な影響を与えています。しかし私たちは毎日食べる必要があるので、食糧の生産を止めるわけにはいきません。そのため、地球規模での植物性ベース食へのシフトが今や不可欠となっており、奨励されるべきであるという結論にも達しているのです。

こんにち私たちがしている食物の選び方が、

私たちの生命とこの地球に直接影響を及ぼしていることは明らかであり、これは人々に周知してもらう必要があり、取り組んでいく必要があります

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 アドバンス・コースでは、こんにちの私たちの食物選択が、私たちの生活や生命にどのような影響を与えているのかを詳しく見ていきます。そして私たちの農業の仕方、加工の仕方、輸送や配達の方法、調理法、食べ方などには再調査が必要であると思われますので、これらについても調べていきます。また、私たちにとって健康的で、地球にとっても環境的に持続可能であり、より公平で公正な方法ですべての人類を養えるような、21世紀にふさわしい世界的な食文化を創り上げるには、どのような手段が必要なのかについても考えていきます。

個人の健康と地球の健康はひとつであり、

同じものなのです

 マクロビオティックでは常に、環境の問題について調べてきましたが、環境と健康との関連性については、未だに、十分に注目を集めているとは言えません。マクロビオティックの考え方や指針が開発され、普及し始めたころは、私たちが現在経験している環境への悪影響が、それほど大きな問題にはなっていませんでした。そして食事など私たちのライフスタイルがどのように健康と関連しているかについては、現在になってやっと相応の情報が入手できるようになったのです。しかし状況はさらに変わり、こんにち、環境からの要因が健康を弱めてしまうという大変な状況となっていますので、これはしっかりと認識して、真剣に取り組む必要があるのです。

 

 こんにち、数え切れないほどの汚染物質、有毒物質、プラスチックなどが環境に放出され、捨てられています。これらの廃棄物には、私たちが消費しているほぼすべての物を作るために使用されている化学物質や、私たちの食糧を生産するために使われている莫大な量の化学物質が含まれています。さらには、ずっと昔に使われて廃棄された化学物質の多くは、簡単に分解されるわけではなく、環境内に何年も残り続けるため、いまだに私たちに脅威を与え続けています。これらすべての化学物質は、環境汚染に寄与するだけでなく、私たちの体内へと続いていく道筋を必ず見つけ出し、そしてやがては蓄積していくのです。

環境内にある化学物質、有毒物質、汚染物質は、

特に食物をとおして私たちの身体へと

たどり着くのです

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 これらの化学物質の多くには、ダイオキシンや水銀など残留性有機汚染物質(POP)として知られている多くの農薬があり、健康に有害な影響を及ぼします。これらの化学物質には、私たちの体内に呼吸から入ってくるものや、皮膚を通過して侵入してくるものがあり、また、その多くを調理や飲み物に使う水の中に見つけることもできます。しかし、これらの化学物質の大半は、食物をとおして摂取されます。これらの化学物質が、農薬や汚染物質として一旦環境に放たれてしまうと、植物や動物の体内に蓄積され始めます。そしてこれらの有毒物質は、食物連鎖を登っていくにつれて高濃度に濃縮されていきます。これが、生体濃縮として知られているものです。その結果、肉やミルク、卵や魚介類には、今や高濃度の有毒物質が含まれているのです。

化学物質や有毒物質、汚染物質は私たちの体内に

蓄積されていき、身体を弱めてしまいます

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 危険な化学物質や有毒物質、汚染物質は、今や懸念されるほどのレベルで、へその緒や生まれたての赤ちゃんのほか、母乳や私たちの体内からも発見されています。子供は身体が小さく、解毒能力が未発達のため、その影響は特に大きくなります。また、歳をとるにしたがってこれらの化学物質は、動物や人間の脂肪組織に蓄積されていきます。このプロセスは、生体蓄積として知られています。これらのプロセスが影響を与えることは明らかであり、さまざまな健康問題にもつながっていきます。

 アドバンス・コースでは、健康を害する化学物質や有毒物質、汚染物質、電気製品から出る低周波電磁波など環境からくる要因を詳しく見ていきます。またマクロビオティックの観点から、予防策や具体的な手段を考え、汚染され続けるこの人工的な世界で健康を改善し、維持していくことに役立てていきたいと考えています。

ホルモンのアンバランスは、今や増えつつあります

 上級コースで取り上げているもうひとつの問題は、ホルモンのアンバランスです。多くの化学物質は、内分泌系として知られている体内のホルモンに擬態(ぎたい:真似ること)して、その働きに干渉する可能性があります。内分泌攪乱物質(環境ホルモン)と呼ばれているこれらの化学物質は、殺虫剤だけでなく、食物、プラスチック、化粧品、洗剤、ペンキ、家具、玩具などなど、さまざまな物からも見つかっています。内分泌攪乱物質は、発達障害、生殖器系の問題、脳障害、免疫の問題などに関連しているホルモンのアンバランスを引き起こす可能性があります。ホルモンのアンバランスは、栄養のアンバランスやエネルギーのアンバランスによっても起こる可能性がありますので、ホルモンバランスを取り戻し、維持するための推奨も示しながらディスカッションをしていきます。

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 上級コースの焦点のひとつとして取り上げるものに、現代における慢性病の蔓延があります。慢性病は、生活習慣病として分類されていますが、非感染症(NCD)としても知られています。これには、特に高血圧や心臓病、卒中などの心臓血管疾患(CVD)や、癌、糖尿病などが含まれます。この疾患群は、現在、食事やライフスタイルの変更による手段でそのほとんどが予防できると考えられていますが、世界では蔓延状態となっており、現代社会における能力障害や若年死の原因としては最も一般的なものとして知られています。この疾患の原因および危険因子を理解することや、予防手段を見つけることが急務となっています。

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 上級コースで取り上げているもうひとつの健康問題は、感染症(CD)としても知られているウイルスや細菌による伝染病です。この疾患群は、生活の質の改善や衛生状態の改良、ワクチンや抗生物質の出現によりほぼ根絶されるか、少なくとも制御可能になると思われていました。しかし最近の新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延により、私たちの理解の仕方や伝染病へのアプローチの仕方にさまざまな弱点があることが明らかになりました。近年、根絶されたと考えられていた伝染病の再発や、新たな伝染病の出現の増加が世界中で起こっているため、これから先、何が期待できるのかという不安感が増えています。そして不幸にも、こんにち私たちが健康にアプローチするときによく用いている、根本原因の特定や長期にわたる予防手段の実行には、ほとんど力を入れていないのです。

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 伝染病に関係する分野はたくさんありますので、それらを理解して取り組んでいく必要がありますが、そのうちのいくつかについてはこのコースでも取り上げています。例えば、ウイルスや細菌による疾病のほとんどは、最初動物から始まっており、そこから人間に伝染していったことはよく知られています。これらの伝染病は、人獣共通感染症(Zoonotic Diseases)として知られています。これは動物や動物性の食物からきており、E .コリ菌、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、リステリア菌など食物由来の病原菌に汚染された動物性食物が、人間に直接摂取されたときに起こります。また、鳥インフルエンザや豚インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ熱などを初めとする多くの伝染病は、汚染された空気や水などに接触することによって引き起こされます。新型コロナウイルス(COVID-19)はコウモリから始まり、ほかの媒介動物を経て人間に感染したと考えられています。

 懸念材料のひとつとしては、近年世界中で動物性食物の摂取量が急激に増えているため、野生動物や家畜に起因する新型ウイルスなどの病原菌が出現する可能性が、今、特に高まっていることが挙げられます。こんにちの家畜のほとんどは巨大な工場型農場の中、極めて不衛生な劣悪状態で飼育されています。そしてそのほとんどが、病気になったり、ウイルスや細菌による疾病にかかりやすくなっています。こうした工場型農場が新たなウイルスや細菌の温床となり、やがては病原菌となって人間に感染するという可能性があるのです。そして現代の旅行や輸送の形態が、これらのウイルスや細菌を世界中に急速に、かつ簡単に広げてしまうことは、皆さんもご存知のとおりです。

 この状況に対処するために、家畜には大量の抗生物質が投与されます。これもまた問題となっているとおり、食用動物への抗生物質の乱用が抗菌剤耐性菌の発生を生んでしまいます。これは、深刻な感染症を引き起こすような細菌が、現在の治療法のほとんど、またはすべてに対して耐性を持っていることを意味します。

 私たちは、集約農業や工場型農場をはじめ、人間による自然の生態系への侵害、公害、地球温暖化、気候変動など、環境に対して多くの変更を加えてきました。これらのすべてが、動物の生活、動物の健康、人間への距離、微生物の進化の形態と進化速度などを変えています。動物愛護や環境的な要因が人間の健康に影響を与えるという考え方は、新しいものではありませんが、近年注目を集めています。しかし実際には、これらの問題を軽減するために必要とされる変化はほとんど起こっていないうえに、土地利用や農業の集約化によって疾病が発生してくるため、疫病出現の時代となるであろうと科学者たちは予測しています。

 マクロビオティック・ウェイ・プログラムは、新たに創設したコースであり、私たちの生活に大きな影響を与えている現代の諸問題の解決に役立つ情報を盛り込んでいます。伝染病に関して個人レベルで最も重要な点は、血液の質のバランスや強固な免疫システムなど、日々の体調や精神状態の健康を保つことです。そのためには基本的に、私たちの日々の食事やライフスタイルが伝染病への予防を担っています。この点は昨今見落とされがちですが、貧相な食事やバランスを欠いたライフスタイル、多くの環境的な要因など、免疫系を弱らせてしまう要素が急激に増えてきています。感情も疾病予防を担っており、過剰な恐怖や不安は良い影響を与えません。多くの場合恐怖は、知らなかったことが原因で湧いてくる感情ですが、何をすべきか、どう対処したらよいのかがわからないときにも湧き起こります。これは、自分自身を教育することによって対処できることを意味しています。

 上級コースでは、免疫を弱めてしまう食事や調理法などの生活要因を、見分けることにも目を向けています。免疫が必要だと感じるときにはいつでも免疫を強める事ができる、とわかっていることは重要です。さらには、伝染病の発生に関与している環境やエネルギーなどの要因に、マクロビオティックの見方を取り入れていくこともそのたすけとなります。

 マクロビオティックで個人の成長にとって鍵となるのは、ひとりの人間として自立し、自分で考えられ、物事を正しく判断でき、賢明な決定ができ、人生が楽にマネージできることです。これには、精神状態や認知機能を維持する力が必要となってきます。それには、適切な脳の養い方や神経系を健康な状態に保つ方法を学ぶことが不可欠となってきます。

 栄養学は、この点にほとんど注意を払っていません。そして、何年ものあいだ栄養学会から出されてきたアドバイスは、常に、大きくて強そうな体格を作るのに適した食物に関する推奨だけでした。そのため、動物性蛋白質とカルシウムが強調され続けてきたのです。そして今や多くの人々が、栄養と、動物性食物からの蛋白質や乳製品からのカルシウムを十分摂取することとを関連付けるようになってしまったのです。しかし脳を適切に養うためには、そのほかの栄養素を考慮する必要があります。

 動物性の食物、甘ったるい食品や飲料、油っぽい食品、高度に加工された食品などが多い現代の食事は、精神状態を含む健康全般の悪化に寄与してきました。さらには、妊娠中から授乳時、日々の食事、治療のための投薬、環境などから体内に取り入れている化学物質や有毒物質の多くが、脳や神経系に対して有害であることはよく知られています。その結果、精神障害は広範囲で広がっており、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)、うつ病、認知症などの精神性や神経系の障害の発症はあらゆる所で増加しています。実際には、今や多くの人は明確に考えることが難しくなってきており、正常な記憶力や認知機能を持った高齢者を見つけるのはますます難しくなってきています。

 

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 精神障害に取り組むためには、植物性の食物にも目を向けて、さらに学んでいく必要があります。例えばグルコース(ショ糖)は、人間の脳にとってのほとんど唯一の燃料なのです。そしてグルコースは、植物からしか得られない炭水化物がその原料です。脳や神経系の機能を正常にするためには、これもその多くが植物からしか得られないさまざまなミネラルやビタミンが必要となります。そしてそれらの供給源として最適なのは、有益な栄養素がすべて含まれている植物性のホールフードなのです。それに比べてこんにちの現代的な食品の多くは、精製され、高度に加工されていますので、重要な栄養素が激減しています。これもまた、脳や神経系の機能を弱めてしまいます。

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 近年、腸の状態は、思考や気分など脳の状態と関連していることがわかってきています。腸機能の健康のためには、そして脳機能のためにも、有益菌や消化酵素(プロバイオティックス)、そして食物繊維の摂取増加(プリバイオティックス)が必要となります。これらは、腸内細菌叢(そう)を丈夫にしてくれます。この点でも、食物繊維の豊富な全粒穀物や多くの植物性食物、そして味噌や醤油といった伝統的な発酵調味料や漬物などの自然に発酵させた食品を摂取する意味があるのです。

 

 上級コースでは、マクロビオティック・スタイルのホールフード植物性ベースの食事やライフスタイルに関する指針など、心の健康に関するさまざまなテーマをカバーしています。また、脳や神経系を弱めてしまう食物や調理法、ライフスタイルなどの要因と、心の健康や思考の明晰性を伸ばしてくれる要因を詳しく見ていきます。

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 また上級コースでは、エネルギーの観点から脳や考え方が食物からどういった影響を受けるかや、人間の意識の発達にどう影響するのかについても見ていきます。そして、シンプルな瞑想やビジュアライゼーション、注意深い行動、深い呼吸法なども紹介することで、脳を鍛え、精神的な明晰性を得、神経系をリラックスさせて緊張を取り除き、ストレスをマネージし、感情を安定させることに役立てています。

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 人類は、この地球上で長いあいだ進化を続けてきており、環境の変化や食物からの影響により、そのときどきに特定の性質を獲得してきました。これらの要因と私たちの身体の構造や体質を見ていくことで、私たちに生まれつき備わっている健康維持能力を伸ばし、人間としての可能性を広げるためには食物をどう選んだらよいかについても、新しい見方を学んでいきます。私たち人類は自然の一部であり、自然環境との調和が繁栄の前提となる傾向にありましたので、私たちは、食物や日々の生活をとおして、周りの自然環境とのバランスを深いレベルで創り上げていく方法も模索していきます。

 上級コースでは、東洋医学の学習も続けていきますが、新しいアプローチも紹介していきます。両親や先祖をとおして受け継いだ体質や、幼少期に獲得した特性を見分ける方法も見ていきます。体質からは、私たちの性格だけでなく、私たちの内面的な強さや弱さも見ることができます。また、現在の健康状態がわかる体調の見方も紹介し、改善するためにはどういった変更を加えるのがよいのかについても考えます。望診では、耳と聴覚障害の原因や目と視覚障害の原因など、さまざまな部位について詳しく見ていきます。

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自分が熱くなれることや自分の夢を追い求めましょう

 マクロビオティックには、健康的で、環境的に持続可能で、調和のとれた平和な世界の構築に貢献するというビジョンがあります。そして上級コースでは、この共通のビジョンの元になる考え方や、その実現に向けての具体的なステップをいくつか紹介していきます。これには、人々の気づきを増やし、人生の見方を広げ、この時代の特徴や重要性を知り、人類の成長と地球の発展のためのあらゆる可能性を検証することなどが入ります。この点は、個人レベルでも真の幸せや楽しみをもたらしてくれる人生の目的や夢とも関連しています。

 このコースの調理クラスでは、健康を促進し、バランスを取り戻すための手段として、マクロビオティック理論を食物の取り扱いや調理に応用していきます。このコースで取り上げている疾患や不調を改善するためのメニューや料理、シンプルな飲み物などのつくり方に習熟していただくクラスも用意しています。これには、癌、心臓血管疾患、糖尿病などを予防し、改善するための調理法、免疫を高めるための調理法、脳や神経系を強くする調理法などが入ります。また、特定の症状を緩和するのに役立つプラスター(膏薬)や湿布などの外用薬も紹介しています。

 上級コースのハイライトは、自分で加工食品をつくり、それを使った新たな料理を学ぶことです。日本で伝統的に使われてきた糀菌(=コウジカビ:aspergillus oryzae)にも親しんでいただきます。これは、味噌、醤油、塩麹、醤油麹、甘酒、味醂、糀漬けなどの発酵調味料や発酵食品に使われるものですが、そのいくつかをつくるクラスも用意しています。また、納豆やテンペなどの発酵大豆製品のつくり方も紹介します。これらの発酵食品は、とても美味しく、マクロビオティックの家庭でもよく使われています。発酵食品は、栄養価が高いだけでなく、消化酵素や有用菌(プロバイオティックス)が豊富に含まれていますので、特に腸内細菌叢のバランス維持に役立ちます。

 この上級コースで教えているホームメイド加工食品のひとつに、セイタンがあります。これは小麦強力粉からつくるもので、まずドウをよく練り、次に洗うことで澱粉を取り除き、小麦グルテン(蛋白質)を取り出します。セイタンはとても美味しく、肉に似た食感があります。グルテンミート(wheat meat)とも呼ばれていますが、世界中で植物性ベースの代替品を探す人が増えているため、その人気も高まっています。

 上級コースでは、あなたの調理技術の上達を援助しますし、特別な行事や公共施設で調理するためのアイディアも紹介しています。手の込んだ料理のつくり方も学び、味付けやプレゼンテーションにも磨きをかけていきます。塩味や甘味のタルトやパイもつくり、お祝いやお祭りのメニューにも挑戦し、エレガントでスタイリッシュな料理の出し方も紹介しています。